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物体検出の仕組みは?必要データ数・活用事例・構築手順を徹底解説!

 

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物体検出を実現するAIでは、障害物などのモノの検出だけでなく、異常検知やマーケティング分析にも活用できることはご存じでしょうか。ますます活用の広がりを見せる物体検出ですが、自社のビジネスにどのように落とし込んで活用できるのか、どれだけの教師データの準備が必要なのか、とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、物体検出のビジネス活用例や、仕組みを解説します。物体検出システムを構築する方法まで解説しているので、導入する流れも掴んでいただけます。検出速度を上げるために注意すべきポイントも紹介しているので、参考にしてみてください。

 

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物体検出とは?


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物体検出とは、画像の中にある対象物を検出するAI技術です。システムに検出したい物体の外観を学習させることで、自動で対象物を認識できるようになります。

物体検出を活用すれば、単に対象物を検出するだけでなく、位置を把握したり個数を数えたりすることもできます。物体検出はすでにビジネスへの応用が進んでいます。

例えば、製造業における品質管理では、製品の異常を自動的に検出し、品質の向上に寄与しています。また、小売業では、店内の商品の配置や顧客の動線分析に利用され、最適な店舗運営を支援しています。さらに、交通システムにおいては、自動運転車の安全運転を実現するための重要な技術としても注目されています。

 


AIによる物体検出の仕組み


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AIによる物体検出の仕組みは、画像認識技術を利用して、特定の対象物を識別し、その位置や属性を正確に特定するプロセスです。AIによる物体検出システムは、主に以下の2つの手順を踏んで処理を行います。

  1. 検出したい対象物がありそうな箇所を絞り込む
  2. あらかじめ学習したデータと照らし合わせ、それらが何であるかを判断する


初めに行う絞り込みの数は、増やせば増やすほど見落としが減るため精度が向上する傾向にありますが、処理にかかる時間は長くなってしまいます。精度を維持しながら処理速度を上げるために、以下のような手法が開発されてます。


  • YOLO (You Only Look Once)
  • R-CNN (Regions with Convolutional Neural Networks)
  • Fast R-CNN
  • Faster R-CNN
  • SSD (Single Shot MultiBox Detector)
  • DCN (Deformable Convolutional Networks)
  • DETR (DEtection TRansformer)



特に注目すべきは、YOLOやFaster R-CNNのような手法です。

YOLOは画像を一度だけ見ることで、高速かつ高精度な物体検出を実現します。一方、Faster R-CNNは、領域提案ネットワークを使用して候補領域を迅速に特定し、精度の高い検出を可能にします。

それぞれの手法については、「バウンディングボックスとは?YOLOでどう使われる?メリット・デメリット、物体検出手法を徹底解説」で解説しています。


物体検出に必要なデータ数

物体検出に必要な教師データの量は、目的とする精度や対象物の種類によって大きく異なります。一般的には、数千から数万のデータが必要になることが多いですが、これはあくまで目安であり、具体的なプロジェクトの要件に応じて変動します。

また、教師データの質によっても必要なデータ数は変化します。高品質なデータであれば、比較的少ないデータ量で高い精度の物体検出が可能になります。起きうるケースを網羅した代表的なデータであれば、学習に必要な情報を効率的に提供するためです。

低品質なデータだと膨大なデータ数が必要になることもあります。不正確なラベル付けや不適切なデータの取り扱いにより、モデルが必要な特徴を適切に学習できないことが原因です。

 

 

物体検出の活用例・できること


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物体検出を活用すると、以下のようなことが可能です。

  • 異常検知
  • 障害物検知
  • 外観検査
  • マーケティング分析
  • 交通量の計測


それぞれについて解説します。

 

・異常検知

物体検出は、安全管理のための異常検知に活用できます。

例えば、工場や建設現場では、人が危険なエリアに入ったことを検知して警告を発することで、事故のリスクを低減できます。また、公共の場や商業施設では、放置された荷物や忘れ物を検出してセキュリティ上の問題を事前に察知することが可能です。

異常検知には高度な技術や豊富な経験が求められる場面が多いですが、物体検出システムを利用すれば、人間の監視に比べて迅速、高精度な異常検出を自動で行ってくれます。


・障害物検知

物体検出システムによって障害物を検知できるようになります。物体検出は複数の対象物を同時に検出できるため、どこに何がいくつあるのかを瞬時に判断可能です。

障害物検知は、自動運転車の安全性を高めるために不可欠です。自動運転をするには、看板や縁石、自動車や歩行者なども検出しなくてはなりません。物体検出システムは、道路上の様々な対象物、例えば看板、縁石、他の車両、歩行者などを正確に識別し、車両がこれらを避けるための行動を取るのに役立ちます。

この技術により、自動運転車は周囲の環境を正確に把握し、人間の運転手に匹敵する、あるいはそれ以上の安全運転が可能になります。


・外観検査

外観検査においては、物体検出技術を活用することで作業の効率化と自動化が図れます。システムは構造が似ている物体も正確に見分けられるため、外観検査の精度を飛躍的に向上させることができます。

また、システムは複数の対象物を瞬時に認識可能です。人よりも素早く外観検査できるため、作業時間の短縮にもつなげられるでしょう。これは、特に製造業において品質管理のコストと時間を大幅に削減する効果をもたらします。

さらに、システムの設計次第では、建物などの大きな対象物からミクロンオーダーの小さな対象物まで検査可能です。従来は専門技術者しか検査できなかった項目も、システムを活用することで自動化できる可能性があります。


・マーケティング分析

物体検出を活用して装飾品や所持者の性別・年齢層を取得すれば、マーケティング分析においても重要な役割を果たします。物体検出システムは同時に複数の対象物を把握できるため、人が処理できないような大量のデータを一度に処理できます。

また、店舗内での物体検出により、顧客がどの商品に興味を示しているか、どの年齢層や性別の顧客が特定の商品を購入しているかなどの情報を収集できます。POSレジなどの既存のシステムでは、購入した客層までは自動で判断できない場合が多くあります。

しかし、年齢層や性別を識別できる物体検出システムを活用すれば、自動でターゲット顧客層をより正確に理解し、効果的なプロモーション活動や商品開発に活かすことができるでしょう。

 

・交通量の計測

物体検出を活用すれば、人手をかけることなく交通量を計測できます。あらかじめ学習しておけば、車や歩行者のほか、ペットやバスの数まで計測可能です。

人による交通量の計測は、見落としや計測漏れのリスクがあることに加え、認識できる数には限りがあります。交通量が多い場所で計測する場合には、物体検知システムを導入することで正確性を上げ、省力化を実現できるかもしれません。

 

 

物体検出AIシステム構築手順


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AIを搭載した物体検出システムは、以下の手順で構築します。

  1. データセットの収集
  2. アノテーション
  3. AIモデル学習
  4. AIモデル検証とチューニング
  5. AIモデルのデプロイ

それぞれについて解説します。


①データセットの収集

まず、物体検出の基礎となるデータを収集します。システムによっては数千から数万枚の画像データが必要です。データの量と質のバランスを考えながら、効率的に収集できる仕組みを構築しましょう。

データセットの収集は非常に手間がかかる作業ですが、データの品質が低ければAIモデルの精度も落ちてしまいます。オープンデータや過去に社内で蓄積したデータを活用するなどして根気よく集めましょう。

データの多様性と代表性にも注意を払い、AIモデルが実際のシナリオを反映した情報を学習できるようにすることが肝要です。

アノテーションデータ収集依頼時の注意点を以下で詳しく説明しています。
機械学習でのデータ収集方法徹底解説!データセット構築手順、外注するメリットとは?

 

②アノテーション

データが集まれば、AIモデルが対象物を認識できるように正解ラベルを付与します。これを、アノテーションといいます。
物体検出におけるアノテーションには、対象物を特定し、その位置情報をモデルに教えるための以下のような主要な手法があります。

アノテーション手法 説明
バウンディングボックス
(Bounding Box)
(紹介記事)
対象物を四角形の枠(ボックス)で囲むことによって位置を特定
最も一般的なアノテーション手法の一つ
セマンティックセグメンテーション
(Semantic Segmentation)
(紹介記事)
画像内の各ピクセルを特定のクラス(例えば、犬、猫、車など)に分類する
同じクラスのオブジェクトを一つの集合として扱う
インスタンスセグメンテーション
(Instance Segmentation)
セマンティックセグメンテーションと同じくピクセルレベルでの分類を行う
同じクラス内の異なるオブジェクトも個別に区別
ポイントアノテーション
(Point Annotation)
対象物の特定の点(例えば、物体の中心や角など)にマークを付ける
対象物の正確な位置や特徴的な部分を特定するのに適している
ポリラインアノテーション
(Polyline Annotation)
対象物の形状や輪郭を線で追跡して表現する
主に道路、歩道、河川などの長い形状やパスを示すのに用いられる
ランドマークアノテーション
(Landmark Annotation)
特定の対象物の重要な特徴点(ランドマーク)に注釈を付ける
顔認識において目、鼻、口などの特徴点を特定するのに用いられる

データセットの収集と同じく非常に手間のかかる作業ですが、アノテーションの品質はAIモデルの性能に直結します。精度高く行うようにしましょう。

とはいえ、数千から数万枚もの画像を精度高くアノテーションするには、非常に大きな労力がかかります。アノテーションに慣れていない人材に任せるとなると、作業にかなりの時間を要してしまうでしょう。アノテーションに関する専門的な知識や経験を持つ人材を配置することが推奨されます。

社内にアノテーションの知見やリソースがない場合など、アノテーション業務を外注している企業も多く存在します。外注・内製の基準や見極め方は「アノテーション代行会社に外注?内製する?外注先の選び方は?代行依頼のメリットを徹底解説!」で解説しています。

 

③AIモデル学習

アノテーションが完了した教師データを使って、AIモデルの学習を行います。

目的に応じたモデルを選択し、データを与えて学習させましょう。CNNや、YOLO、R-CNNなどの進化した物体検出アルゴリズムを用いることが一般的です。
AIモデルは与えられたデータから対象物の特徴を学習し、検出精度を上げていきます。

 

④AIモデル検証とチューニング

AIモデルの学習が完了すれば、十分な精度に達しているかを検証します。重要なのは、学習に使用していない新しいデータで検証を行うことです。これにより、モデルが未知のデータに対してどの程度効果的に機能するかを評価できます。

精度や処理速度に問題があれば、データセットの調整やチューニングにより改善を図ります。精度の高さだけでなく、実務で利用できる処理速度を有しているかも確認しておくようにしましょう。

作業時間を短縮するためにシステムを導入したのにもかかわらず、目視より遅い判断しか下せない場合は導入の効果が小さくなってしまいます。多くの修正が必要になることもありますが、目的に応じたシステムになるまで検証を重ねましょう。

 

 

⑤AIモデルのデプロイ

AIモデルが完成すれば、本番環境に展開して利用できるようにします。この際、現場の人員がシステムを使いこなせるよう、システムの概要や使い方を丁寧に説明しましょう。

導入後は定期的に精度や処理速度を確認し、正常に動いているかを判断するようにしましょう。導入後に追加学習が必要になることもあるので、システム構築後も注意が必要です。

 

物体検出をする際の注意点


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物体検出をする場合は、以下の点に注意するとモデルの精度を高められます。

  • 画像の解像度の最適化
  • 被写体の構図を決めておく
  • データの質を確保する

それぞれについて解説します。


・画像の解像度の最適化

画像の解像度は、必要最小限に抑えることで処理速度を高められます。高解像度の画像は詳細な情報を提供しますが、処理速度に影響を及ぼす可能性があります。

最近は簡単に高解像度の画像が大量に入手できるようになりましたが、解像度が低くても十分な精度で物体検出できる場合は多くあります。処理時間をできるだけ短くするために、解像度は精度を落とさない範囲内でできるだけ抑えるようにしましょう。

また、色が不要な場合はカラー画像ではなくグレースケールにすることでデータ量を低減して処理が早くなることもあります。不要な情報にデータ量を割いていないかを確認するとよいでしょう。

ただし、解像度を下げたり、グレースケースにしたりする際には、必要な精度を維持できるかどうかを慎重に検討する必要があります。


・被写体の構図を決めておく

被写体の構図を決めておくと物体の認識が容易になるため、精度や速度を上げられます。構図を固定できるであれば、あらかじめ決めておくと良いでしょう。

また、背景を統一することで、対象物の検出が容易になり、処理速度の向上にも寄与します。無駄な対象物が背後に写り込まないようにすると、対象物の絞り込みにかかる手間が減らせるため、処理速度を上げられます。背景色を統一するなど、システムの負担にならないよう工夫しましょう。

被写体と背景のコントラストを考慮して構図を決めることが重要です。

 

・データの質を確保する

モデルの性能には、教師データの量だけでなく質が大きく関与しています。データの量ばかりに気を取られてしまいがちですが、データの質も確保するようにしましょう。質が確保できていないと、学習の段階で低品質なデータを排除する必要が生じ、収集したデータが無駄になってしまいます。

データの質を高めるためには、バランスの取れたデータセットの構築、高品質なアノテーションの実施が必要です。これにはデータに関する知識や経験が必要なため、社内に知見がない場合は専門家への相談を検討してもよいでしょう。

 

まとめ


教師データはAIにとって欠かせないものであり、その精度の高さがAIの精度の高さにつながります。質の高い教師データを作るためには、高い技術のアノテーションや専門知識の多さ、しっかりとした管理体制といった様々な要素があります。

アノテーション作業は、大量のデータをタグ付けするといった、一見すると単純な作業に見えるため、個人のクラウドワーカーや海外企業に委託するようなオフショアに依頼して人件費を安く抑える場合もあります。しかし、そのような場合、作業内容やルールを決めても、作業者が理解できなかったり知識がないために精度が低いアノテーションになったりするなどの問題が発生し、目的の沿った品質の教師データを得られなくなってしまいます。技術の高い作業者だけでなく、それを管理し、目的や納期を達成できる組織づくりも必要になります。

また、教師データを作成する上で、アノテーション技術が高く品質管理の体制が整っていたとしてもヒューマンエラーを完全になくすことは簡単ではありません。エラーが発生した時に的確に素早く対応していけば、信頼性のあるデータが作りあげられます。

このような要素をクリアすることで、質の高い教師データを作り、精度の高いAIを作ることができます。



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