学生ゲリラチームから見えてくるNextremerのカルチャーとは
こんにちは!
Nextremer AIエンジニアの両角(もろずみ)です。
Nextremerでは今年の2月〜3月の約2ヶ月間に “学生ゲリラチーム” と命名したインターン生たちによるチームを結成しいくつかのPJに取り組みました。
学生ゲリラチームのメンバーは、約2ヶ月ほど前に学生の春休み期間を利用した短期インターンを募集しその結果集まった8名の学生インターンです。
今回私はこの学生ゲリラチームPJを統括するゲリラキャプテンとして関わらせて頂きました。
3月末を持って今回の学生ゲリラチームは解散となりましたが、学生ゲリラチームでのPJを通して社員の立場からも学んだことや気づきがたくさんあり、改めて自分達のカルチャーを認識することができました。
今回の記事では、私の学生ゲリラチームでの経験から見えてくる Nextremer のカルチャーをお伝えします。
この記事では
1. なぜ学生ゲリラチームを作ったか
2. 学生ゲリラチームで何をやったか
3. 学生ゲリラチームから学んだこと
4. Nextremerのカルチャーとは
5. まとめ
について書きます。
1. なぜ学生ゲリラチームを作ったか
事の発端は約3ヶ月前、今年の1月上旬ころです。
3月にいくつかのイベント出展や対話システムの開発PJを予定していたのですが、弊社エンジニアは既にそれぞれPJに就いて開発をしているため手が空いておらず、どうやって乗り切るかを私と社長で相談していました。
外部のエンジニアに入ってもらうというのがまず浮かびましたが、予定していたPJはどれもすぐにプロダクションに出すというわけではなく、品質よりも新しいアイディアが重要と考えていたので、外部のエンジニアに入ってもらったとして上手くいくのだろうか?というのが気になりました。
そんな中、学生を集めたチームを作ってやってみようかという案が出て、その方が面白いものができそうだったので早速実行に移すことにしました。
“Win-Win” だし、“正義しかない”し、いいじゃん!というノリで。
学生を集めるための作戦
短期インターンを募集してPJを運営することは Nextremer では初めての試みでした。
スケジュール的に2月にはPJを開始したいのですが、それまでにはあと2週間ほどしか時間がありません。
そもそも、ある程度優秀な学生に入ってもらわないと手取り足取り教えている余裕はないですし、今までの採用を考えるとそんな短期間で優秀なメンバーを多く集めるのは簡単ではありません。
それから色々とアイディアを出した結果、
- 地方の学生にターゲットを絞る
- 各大学の研究室とのコネクションを辿って学生を集める
という作戦を考えました。
弊社の高知オフィスの採用で優秀なエンジニアを集めることができた経験から、地方の学生にターゲットを絞りました。
東京だと学生の人数は地方と比較して多いですがベンチャー企業の数も圧倒的に多いので、インターンをやるモチベーションのある都内の学生は既にどこかの企業に行っている可能性が高く、短期間での人材獲得が難しいと判断しました。
また、繋がりのある大学の研究室に協力して頂くことで、優秀な学生にリーチすることと、名の知れない東京の怪しいベンチャーへ来ることの抵抗を少しでも減らすことを狙っていました。
自由な環境を用意
地方の学生にメリットを感じてもらえるように往復の交通費はもちろん支給、会社の近くに住むための家も Nextremer で用意することにしました。
また、集まった学生には自由な環境で仕事を進めてもらいたかったので、勤務ルールはなるべく緩くして以下の条件としました。
- Nextremer東京オフィスに出勤して勤務すること
- 10:00〜19:00の間に7時間以上は勤務すること
- インターン期間内に通算140時間以上は勤務すること
勤務ルールを緩くしたのは、なるべく自由にして仕事の時間を自己管理することを経験させるため、というのがもっともらしい理由ですが、
実際のところは、私自身が朝に弱くて遅刻した人に対して何も言えないので、そもそも遅刻という概念を無くしたかったというのが本音です・・・笑
その結果
早速その後すぐに、各大学に配布するための募集要項のドキュメントを作り、Googleフォームで応募用のフォームを作りました。
そして、弊社メンバーや共同研究をしているお客様にお願いしてそれぞれ繋がりのある研究室の先生に連絡を取って頂き、各大学の研究室から学生の方々に Nextremer の短期インターンを宣伝して頂きました。
その結果、2月までの約2週間で8名の学生インターンの方々を採用することができました。
実際はそれ以上に応募を頂いていたのですが、学生ゲリラチームを担当している社員は実質私しかいなかったので、弊社側の受け入れのキャパシティの問題でお断りせざるを得ないほど、予想以上にたくさんの学生の方々から応募を頂きました。
今回集めた短期インターン生の他にも、既に在籍している学生インターン生や共同研究をしている企業から出向してきているメンバーにもゲリラチームに入ってもらい、最終的に学生ゲリラチームのメンバーは総勢12名になりました。
2. 学生ゲリラチームで何をやったか
さて、そのようにして結成された学生ゲリラチームでは以下の開発を行いました。
1つのPJが終わったらメンバーを移して次のPJを立ち上げて、というようにまさにゲリラ的に進めていきました。
- リテールテックJAPAN 2017出展
- SXSW2017出展
- LINE BOT AWARDSエントリー
- 既存PJ製品のパフォーマンス改善
- 対話システム用新型マイク開発
- 対話システムプロトタイプ開発 × 3
乗り切るためにフラットな組織を作る
学生ゲリラチームに直接関わる社員は私だけで全てのPJを采配する必要があったのですが、自分自身のタスクも山盛りで初期の段階では特に自分がボトルネックとなることが明らかでした。
そんなボトルネック(自分) を解消するためにはなるべく自分が関わらずにPJが進むようにする必要があります。
そのために学生ゲリラチームでは、トップダウンで指揮されるピラミッド型の組織ではなく、階層のない全員がフラットな組織を目指しました。
PJ毎のメンバーの割り振りを決めたら作業のゴールと最低限の情報だけを input として伝えて、あとはほぼ丸投げの状態で各PJを一気に立ち上げました。
更に、コミュニケーションにかかる時間的コストをなるべく減らすために以下のようなルールを決めました。
- コミュニケーションは Slack を中心にして対面で話すための余計な時間は取らない
- リーダーに意思決定を委ねるのではなく各メンバーが自分の判断で決定する
正直に言うと、こういう組織を目指したというよりは、これができなければPJを乗り切れないので必要に迫られ何としてもやるしかなかったというのが実際のところです。
もちろん常にバタバタではありましたが、どのメンバーも自律して行動してくれて、それぞれのPJが着実に進められていきました。
結果として、約2ヶ月の短期間ではありましたが、それぞれのPJで目的を達成でき素晴らしいパフォーマンスを発揮してもらうことができたと思います。
それぞれのメンバーの能力があったからこその結果なので、今思えば彼らを採用した時点でPJがうまくいくことは決まっていたのかもしれません。
先日記事を書いてくれたインターンの藤田くんもこの学生ゲリラチームの一員です。
PJの成功に加えて、それぞれのインターン生に学びや気づきがあり、私たちも彼らから学ぶことが多くありました。
参加して頂いた学生の方々から様々なフィードバックを頂き、Nextremerにとっても非常にいい経験になったと思います。
3. 学生ゲリラチームから学んだこと
このように、ほぼ丸投げに近いような形で進めて何とか乗り切ることができた学生ゲリラチームのPJですが、そこから気づきや学んだことが多くありました。
正直なところ、フラットな組織を目指すとはいえ、この状況でPJを進めるのは難しいかも、と当初は思っていました。
しかし、実際にPJを立ち上げてチームメンバーたちの仕事ぶりを見ると、各々が自分で考えて、判断して、行動している様子を目の当たりにしました。
目指していたフラットな組織として機能している学生ゲリラチームが、気づけばそこに出来上がっていました。
私は今までエンジニアとして仕事をしてきた中でいくつかのPJを経験してリーダーとしての役割も経験してきましたが、今回のように完全にフラットで完全に仕事を任せてしまうというのは初めてでした。
マイクロマネジメントの弊害
今回このようなチーム構成を実際にやってみて、これまではある程度制限した範囲で仕事を任せることしか経験してこなかったのかもということに気づかされました。
制限した範囲で仕事を任せるということは、自分の中で勝手に相手の能力に限界を設定していて、結果が想定できる範囲の仕事しか任せていなかったということです。
仕事を任せる側からしたら不確定要素が減る分コントロールしやすいわけですが、一方、相手にとっては本来持っている能力を発揮しきれずに消化不良な仕事しかできていない可能性があります。
なので、制限をつけて仕事を任せたり意思決定に介入するのを中途半端にやってしまうと、自律的な判断・行動を妨げることになり結果として相手の成長には全く繋がらないのではと思うようになりました。
そして相手の成長という点では、判断の内容が合っている・間違っているとかは微々たる問題で、そこは本質ではありません。
完全に裁量を与えて丸投げする方が、仕事を担当する側にとってはフルに頭を使って考えることが強制されるので、それが相手にとっての成長の機会でありより大きな成果につながる可能性もあるはずです。
特に、長期的な視点で見ればそれは明らかです。
人材育成のためのリスク
とはいえ、能力が不明の人材に対して完全に裁量を与えるというのは企業側にとっては非常にリスクなわけで、そんなに気軽にできることではないというのはよく分かります。
※むしろ私自身もかつてはそう思っていました
何を任せるか、どこにチェックポイントを設けるか、悪い方向に行った場合にどうフォローするか、というのは采配するポジションの人がよく考えなければいけません。
しかし、そこの手間を嫌って結局想定できる範囲だけの仕事を振っても、短期的な成果には問題がないかもしれませんが人材は育ちません。
リーダーを務める上で担当 PJ を成功させるというのはあくまで最低限の当然の責務であって、考えるべきことはそれだけではないはずです。
実務で発揮される能力は実務を通してしか身につかないはずで、PJ を通して人材を育成するということを同時に考えなければ、組織の発展は望めないのではないでしょうか。
ただ PJ の成功だけにフォーカスしても目の前のビジネスとしては問題ないと思いますが、それを続けていくだけだと組織は間違いなく衰退していきます。
チームメンバーたちの行動を見ていて、このようなことに気づくことができました。
4. Nextremerのカルチャーとは
学生ゲリラチームでの活動を振り返ってこれまでの考察をまとめている中で、この雰囲気はそもそも Nextremer のカルチャーそのものだと気づきました。
先に書いたような人材育成のためのリスクを取るには、1リーダー・1メンバーの意向でどうにかできるものではなく、組織としてそれを受け入れる必要があります。
それができている Nextremer には、そこにつながるカルチャーがきっとあるはずです。
Nextremer が挑戦している領域
私たちが扱っている対話システム、機械学習の領域は、プロダクションに登場し注目されるようになってからはまだまだ歴史が浅い技術です。
どう使えばビジネスに活かせるのか、どんな場合に有効なのか、というのは未知の領域が非常に多く、世界中の先進的な企業が日々模索しています。
このような領域において、どういうアウトプットが正しいのかなんていうのは誰にもわかりません。
私ももっともらしいことを言っていますが、どうあるべきかなんていうのは誰もわかっていないはずです。
そのため、私たちが取り組んでいる PJ では、具体的な計画を立てるのが難しい状態で PJ を立ち上げて進めなければいけない場面が多々あります。
まず間違いなく大抵の人はこういう状態でPJにアサインされると “丸投げ” とか “無茶振り” と感じます。
更に、人数に余裕がある状態ではないので、入社したばかりの方やインターン生であっても関係なく、完全な裁量を与えられた無茶振りが日々当たり前のように起きています。
はっきり言ってこれに対応できるかどうかは向き不向きがあって “無茶振りばっかり!こんな状態で上手くいくわけないよ!” と感じるのはおそらく普通の感覚です。
明らかに無謀に見える状態から仕事を進めていくためには、全てのメンバーがリーダシップを発揮して先頭に立ち、常に自分で考え判断して行動することが求められます。
価値の高いイノベーションを生み出す組織
なぜあえてこのようなことをやる必要があるかというと、誰にも先が見えない領域の中で価値の高い成果を上げるためにはいかにして試行回数を増やすかというのが非常に重要なポイントになってくるからです。
これは弊社の社長が私たちの組織を説明するときによく引用している図で、組織内のメンバーの結合度とそこから生まれるイノベーションの価値との関係を表しています。
ポイントだけ説明すると、右に位置する組織ほど各メンバーは独立していて、意味のない成果 (insignificant) が出る回数は増えるが価値が高いイノベーション (breakthrough) を生む可能性が高くなる、というものです。
逆に、左に行くほど組織としての統制が取れていて、価値が高いイノベーションは生まれないが生み出されるものの質は安定しているということになります。
私たちの組織はこの図のより右側に位置する、というのが全員の共通認識としてあり、より価値が高くアツい成果を出すためには各自が自律して考え・行動し、とにかく目の前に1歩を進めて試行回数を増やす、というのが私たちにとって非常に重要なことなのです。
失敗することを嫌って、誰もが納得する落としやすいところに着地させるということをやってしまうと、そこからは価値の高い新しい成果は生まれません。
また、十分に計画され徹底的にリスクが排除された成功することが確実な (少なくとも誰もがそう思う) PJがあったとして、そこからも価値の高い新しい成果は生まれません。
それは私たちベンチャーに求められていることではないんです。
失敗することを恐れずにビジョンを持って先頭に立ち、先が見えない道に1歩を進めることができるマインドと行動力を持ったメンバーが Nextremer には集まっています。
早いうちに全員で失敗をカバーする
しかし、試行回数に伴って増えていく失敗に対してどう対処するか、というは現実問題として常にあります。
失敗を恐れずにとにかくやってみるのはいいのですが、当然すべての状況で上手くいくわけではありません。
なので “このままいくとヤバイ” という時は失敗が小さなうちに全員でカバーし合います。
チャレンジした結果としての失敗を全員が常に繰り返しているので、そのような失敗に対しては寛容です。
日々の仕事はバラバラで直接やりとりがないメンバー同士であっても必要な時にはお互いに助け合います。
これまで数々のPJでお互いに助け合って乗り切ってきたことでメンバー間の強い信頼関係があるからです。
定石を知っているからこそ
Nextremer のメンバーには大手メーカーや大手SIerからの出身者が多く在籍しており、カッチリと着実に進めるPJの経験をバックグラウンドに持つメンバーが多くいます。
先ほどの図でいうと左側に位置する組織の出身者ということです。
そのため、統制された組織や手法の良さ・悪さを身をもって経験しているので、高い価値を生み出すためにはどの部分を振り切ることが重要で効果的かというのをよく知っています。
また、それぞれの経験に裏打ちされた “このままいくとヤバイ” という嗅覚をそれらのメンバーは持っています。
社長を中心としてこのような姿勢に共感するメンバーが集まり、徐々にそれがカルチャーとして根付いていったのが今の Nextremer です。
最新の研究成果を応用しエレガントに問題を解決する製品を出す、ということができれば理想なのかもしれませんが、市場にプロダクトを出すというのはそれだけで上手くいくほど単純な話ではありません。
もちろん研究や技術は私たちにとって最も重要な要素なので日々最新の技術を追って研究と実験を続けています。
しかし、理論だけでは解決できないのがエンジニアリングの現場です。
このように、不確定要素が多い状況であってもビジョンを持って開発を進めていける Execution こそが Nextremer のカルチャーであり強みの1つだと、今回の学生ゲリラチームのPJを通して改めて認識することができました。
5. まとめ
今回の記事では、学生ゲリラチームでの活動からわかる私たちのカルチャーについて書かせて頂きました。
これまで数々のイベントなどで弊社のビジョンや製品について説明をさせて頂いていますが、こういった部分をお伝えできる場はなかなかありません。
この記事を通して Nextremer がどんな企業かを感じて頂ければ幸いです。
さて、今回のような短期インターンでの学生ゲリラチームは、今後も夏休み・春休みの期間を利用して定期的に行います。
今回は手を動かしてアプリケーションを量産するような内容だったため、次回はもっと高度な技術を扱う研究テーマを用意して取り組んでもらおうと考えています。
7月〜8月の期間での実施を予定していますので、興味のある方は次回のご応募をお待ちしています。
また、インターン以外にも社員として Nextremer に Join して頂ける方を随時募集しています。
Nextremer のビジョンや手がける技術に興味を持って下さった方はぜひお気軽にご連絡いただき、話を聞きに来てください。
この他にも機械学習の論文を扱う Nextremer 勉強会を毎月開催しています。
弊社エンジニアと気軽に話ができますのでこちらもぜひチェックしてください。
今回は学生ゲリラチームから見えてくるNextremerのカルチャーについてお伝えしました。