プネスタートアップ訪問紀vol.2 ~プネに潜むギーク集団へ潜入してきた~

プネスタートアップ訪問紀vol.2 ~プネに潜むギーク集団へ潜入してきた~

こんにちは、インドインターン中の小畑です。

前回に引き続き、今回は第二弾、ギーク集団YUNに突撃してきました!インタビューの前に、軽くYUNとCEOのAnuragについて紹介したいと思います。

YUNは、去年の8月頃にできたスタートアップで、ホームページはcomming soonです。主にBluetooth LEの開発や、その他IoT関連のハードウェアを作っています。社員は4人で、その中の2人はなんと、インドの最高学府IITの中でもトップを誇るIIT Bombaiの学生2人です。はるばるムンバイから来てここで働いています(プネ-ムンバイ間は車で2時間半程度の距離)。CEOの Anuragは、数年前まではバリバリの金融アナリストでテレビにもバンバン出ましたが、今は技術ドリブンのスタートアップ経営者という異色の経歴の持ち主です。

では早速インタビューいきます。


小畑 : こんにちは!今日は、インタビューを受けてくださりありがとうございます。なんか家みたいな雰囲気ですね。

Anurag : スタートアップっぽいでしょ。僕たちは完全にオープンだからいつでも来て欲しいと思っているよ。

小畑 : 確かにぽいです。(笑)いつでもお邪魔させてください。では、聞きたいことが山ほどあるので、早速質問ですが、まずYUNについて教えてください。

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※写真右がIIT Bombaiの学生二人。CEOのAnuragは写真写りが悪いからということで写りたくないと拒否していました笑。最後にスタバで一服したあとにみんなで撮った写真にAnuragも写っていますのでご安心を。

インドとIoTをつなぐ巨大構想

Anurag : いいよ。まず僕たちは、今車用のOBD*ポートハブ、自社開発のEddystone*対応のBLEなどを作ってる。車用のOBDで説明すると、今ハイエンドユーザ向けの車にはこのポートが付いている。これは、車の走行距離、ガソリン、タイヤプレッシャー、エンジンのRPM、現在のスピード等をリアルタイムでフィードバックできる。僕たちのこのハブは、Bluetoothだけでなく、GPS、ラジオ波までカバーしてる。これらのデータを地域ごとにビッグデータで最適化することで、ユーザーに有益なリコメンドをすることができる。

例えばガソリン。ガソリンがなくなってくると、自動的にGoogle Mapを呼び出して、近くのガソリンスタンドを見つける。そして、最適のタイミングで最適な場所をリコメンドできるようになる。いちいちガソリン補充のために行動するなんてめんどくさいことはやらなくて良くなるんだ。そうすると、ガソリンスタンドだけじゃない。車内に、温度計、湿度計、バイオセンサなど様々なセンサーを仕込み、ウェアラブルデバイスとも連携すれば、様々なサービスでもこの考え方は応用できるよ。

OBD(On-board diagnostics)とは、自動車に搭載されるコンピュータ(ECU)が行う自己故障診断のことである。一般にOBDが故障診断した場合は、故障の箇所や内容をランプの点灯や明滅あるいはブザー音などの鳴動でドライバーに伝え、その内容に応じたコードを記録する。

Eddystone is a Bluetooth Low Energy beacon profile released by Google in July 2015. The Apache 2.0-licensed, cross-platform and versioned profile contains several frame types, including Eddystone-UID, Eddystone-URL and Eddystone-TLM.[1] Eddystone-URL is used by the Physical Web project, whereas Eddystone-UID is typically used by native apps on a user’s device, including Google’s first party apps such as Google Maps.[2]

(Wikipediaより)

小畑 : まさにIoTですね。

Anurag : うん。例えば、プネ市内に僕たちのデバイスが数百個あったとする。それらから得られるデータは、プネの交通事情そのものを表すことになるんだ。そうすれば、政府はこれを有効活用して交通事故を減らすような働きかけがしやすくなるよね。で、そのためにも僕たちは、プロトコルなんて関係ない、何も気にせずに使えるようなデバイスを作って、巨大なデータシステムを作りたいと思っているんだ。

小畑 : もう少し技術的なところを掘り下げたいのですが、プロトコルとデータシステムに関して、既存の技術の問題点等とYUNのビジョンを教えてもらいたいです。

Anurag : 技術に関しては彼らに説明してもらったほうがいいかな。はは。

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lalit (IIT Bombay の学生、写真右)  : はい、僕のこのプロジェクトのゴールは、今僕たちが持ってるこのODBハブの能力をいろいろな分野に応用できるように拡張すること。車で巨大なセンサーネットワークを作ることなんだ。一番安い車でも、どんな環境でもつかえるようなネットワークで、だれでも有用に活用できるようなもの。それは、僕たちはBluetoothによるメッシュネットワークの構築でできると考えている。

要は、完全なopen platformを作りたいと考えているんだ。今ある、EddystoneやiBeaconなどのプロトコルで動くハードウェア群よりも、ハードウェアによる完全openなネットワークを作ったほうが有益だと思う。

iBeaconとは、iPhoneのiOS7に標準搭載されたことで、いま注目を集めているBluetooth Low Energy(BLE)を使った新技術です。ネットから店舗への誘導などに使える、新しいO2Oの切り札としてマーケッターの期待を集めています。

(ストアビーコンより)

小畑 : 夢が大きくてワクワクしますね。実際、インドでのモバイルの急速な普及を考えると、IoTマーケットは確実に巨大なものになるはずです。そして、その時代の覇者になるということですね。僕も、この分野にはあんまり詳しくなく、調べてきたんですが、Bluetoothなどのいろいろなプロトコルで巨大なメッシュネットワークを作るというYUNのゴールは、トポロジーなど高度な数学も用いるし、非常にやりがいの大きいことのように感じます。

Anurag : うん、だからこの二人と一緒にやってる。僕は難しいことがわからないからね(笑)

教育とIoT

小畑 : ありがとうございます。YUNの今後が非常に楽しみです。あと、隣の部屋で働いている人たちもYUNの従業員ですか?

Anurag : いや、違うんだ。実は、僕は二つのスタートアップを同時経営していて、HealthServeという会社の従業員があっちでは働いているよ。

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※彼らは、今流行りのSlackを使って円滑な社内コミュニケーションを行っていました

小畑 : そうなんですか。では、HealthServeについても教えていただけますか。

Anurag : HealthServeは、子供向けの教育サービスアプリを開発している。これは、子供の成長過程、つまり健康状態や成績などをモニタリングして、親たちにそれを共有するというもの。3年前から始めているサービスだよ。

小畑 : では、HealthServeとYUNは完全に別で動いているんですね。

Anurag : いや、そうじゃないんだ。僕たちは、実は最終的なゴールは同じ。HealthServeでも、IoTを考えている。例えば、子供の体調が悪くなった時、センサーで直接通知をコールセンターにプッシュできる。教育機関でIoTを導入することには、他の意味もある。これからのミレニアム世代は、確実にデジタルに敏感になっていくし、そうすれば、もっと僕たちのセンサーネットワークも広がっていくはず。子供たちにはどんどんデジタルに親しくなって欲しいと考えている。インドでは、まだまだデジタルの導入が遅いんだ。

小畑 : そこで繋がるんですね。確かに子供がもっと技術を使えるようになって、先生もそれにどんどんついていくようになることは非常に重要だと思います。

Anurag : だね。

小畑 : 最後に少し質問が変わりますが、個人的なことで、前職を辞めて起業を思い立った経緯等を教えてください。

Anurag : いいよ。まず、僕はずっと金融アナリストをやっていたんだ。それは、ずっと同じものを観察する仕事。ある程度の成果も出して、お金も稼いだんだけど、面白くなかったんだよね。だから、思い切って起業した。初めはどんな事業をやればいいかわからず苦しんでたんだけど、彼ら(IITの学生)に出会ってから一気にビジョンが見え始めた。こんな感じかな。

小畑 : 彼らとはどういった経緯で出会ったんですか?

Anurag : 友達が彼らと同じ寮に住んでいて、紹介で知り合ったよ。

小畑 : そんな感じなんですか・・・。まあ確かに、人のつながりはそうやって偶然が積み重なっていくようなところはありますよね。

Anurag : その通り。

小畑 : 今日は非常に面白い話をありがとうございました。とても面白くて、まだまだ分からないこともあったので、またお邪魔させてください(笑)。

Anurag : もちろん!今度コレガオンパークでご飯食べよう。

小畑 : ありがとうございます(笑)。


今回は、かなり刺激を受けるインタビューになりました。彼らは、巨大なビジョンをもってすごい勢いで動いています。このような目をギラギラさせたような会社がインドにはたくさん隠れているんだと思います。あと、IITの学生はヤバイです。マジで。ますますインドの未来が楽しみです。

CEOのAnuragは、気さくで非常に魅力的な人でした。もっと面白い人と出会っていきたいなと思っています。最後に、スタバに行った時の写真。右から三番目、一番上の方にいる彼がAnuragです。

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最後まで読んでいただきありがとうございました!第3回も、尖ったスタートアップを取材していきたいと思っています。